「スタートアップ企業」について学べる本まとめ。開業秘話や成功事例、支援サービスまで

既存にない新しい手法を取り入れ、イノベーションをもって事業を立ち上げる「スタートアップ企業」。経営者のユニークなアイデアやビジョン、急速な成長など、さまざまな魅力がある。しかし、新しいからこそ、失敗したり、長く続けることができなかったりと、難題も多い。

そんな中でも挑戦を続け、世界を変えるような商品やサービスを提供し続けているスタートアップ企業もある。彼らはどのようにしてアイデアを生み出し、成長を遂げ、多くの人々に影響を与えるビジネスを創り上げたのか? 多様な視点からスタートアップについて学べる本をまとめてみる。

スタートアップ企業とは?

そもそもスタートアップ企業とは、革新的な技術やアイデアによって、急激に成長を遂げる組織のこと。短期間で億単位の利益を上げる、世界を大きく変えるような事業を生み出すなど、新進気鋭な企業を指す。

規模や扱う商品・サービスは実に多様であり、成功の軌跡も個性的。各事例はビジネスの参考になるのはもちろん、調べるだけでも十分に面白いだろう。

有名スタートアップ企業の成功の軌跡を学べる本

誰もが知るあの企業は、どのようにして今の地位へと上り詰めたのか? 世界に名を馳せるスタートアップ企業たちの成功の軌跡や経営戦略、経営哲学などを学べる本は、こちら。

『スタートアップ列伝 日本の明日を拓く30人』日経コンピュータ編

「マネーフォワード」「freee」「Sansan」「ウォンテッドリー」「ラクスル」「Peatix」といった、名だたるスタートアップ企業が集結し、ビジョンやビジネスモデル、経営戦略を語り尽くした一冊。事業を始めたきっかけや今後成し遂げたいことなど、彼らの熱意と思考を学ぶことができる。

『不可能を可能にせよ! NETFLIX成功の流儀』マーク・ランドルフ

「NETFLIX」の共同創業者にして初代CEOの著者が、同サービス開始15ヵ月前から20年間を振り返り、株式公開までの日々をまとめている。今や世界中で親しまれている巨大サブスクリプションサービスは、どのようにして素晴らしい成長を遂げたのか? 誰にも成功を信じてもらえなかったスタートアップ期からの軌跡を知ることができる一冊。

スタートアップ企業は孤独だ。誰からも信じてもらえず、うまくいきっこないと何度も言われてきたものに取り組んでいる。世界にたったひとりで対峙しているようなものだ。だが現実には、たったひとりではやれない。協力を求めなければならない。他の人を自分の考えに引き込まなければならない。あなたの情熱を共有してもらわなければならない。あなたの未来ビジョンが見える魔法の眼鏡を相手にかけてもらわなければならない。(p.225)

簡単にまねできる詐欺、不安定なサーバー、郵便局の仕分け機に時々詰まってしまう封筒、取引のたびに赤字を出すビジネス。スライドをいくらめくっても黒字に向かう道が見出せないグラフ。
ここでもう絶体絶命だと思うかもしれない。だがスタートアップはこれがあたりまえだ――ほぼ常に大成功と大失敗を隔てるカミソリの刃の上にいる。その状態に慣れていく。(p.272)

『メルカリ 稀代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間』奥平和行

わずか5年で3000億円市場を築いた「メルカリ」は、どのようにして成長し、成功したのか? 数あるフリマアプリの中で多くの顧客に選ばれているその理由は? 試行錯誤し続けた経営戦略、それを支える多様な人々の活躍をまとめている。

スタートアップ企業のリアルな事例を学べる本

スタートアップ企業の経営者たちはどのようにして事業を立ち上げ、困難を乗り越え、急成長を遂げていったのか? リアルな事例を学べる本は、こちら。

『スタートアップ芸人』森武司

元芸人の著者が「金なし」「コネなし」「学歴なし」でスタートアップを立ち上げ、仲間たちと事業を拡大し続けてきた成功秘話をまとめている。仲間をどのように集め、共に戦ってきたのか? 「仲間力」をキーワードとして、社員はもちろん、取引先や顧客も「仲間」に取り入れる考え方を解説。採用やヘッドハンティングをどう行ってきたか、コミュニケーションやチームビルディングの手法など、リアルな経験談とノウハウが詰まっている。

社会を変えるスタートアップ 「就労困難者ゼロ社会」の実現

障害や難病のために就労に課題を抱えざるを得ず、無職や低賃金を強いられる「就労困難者」。彼らが活躍する機会を増やす「就労支援プラットフォーム」を運営し、労働人口減少という社会課題を解決すべく闘うスタートアップ企業の物語。日本の労働市場や雇用状況、それらにまつわる課題に触れつつ、ビジネスモデルやビジョンを解説している。

スタートアップ企業の支援について学べる本

スタートアップ企業の支援について学べる本は、こちら。

『STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団』アッティラ・シゲティ

表題の「スタートアップスタジオ」とは、起業家やフリーランス、イノベーターなど、さまざまな人材が一堂に集まり、同時多発的に事業を起こせるように支援する組織のこと。一人や身近な仲間と起業するのももちろんやりがいがあるが、スタートアップスタジオに所属すれば、ふだん接点のない異業種の人々や、ユニークなアイデアを持つ人と出会い、新たな事業を立ち上げることも可能だ。現在スタートアップスタジオは、日本を含め世界各地に点在している。

本書では、スタートアップスタジオとはどんな組織か? どのようにして事業が立ち上がっていくのか? 欧米諸国の実例と戦略を解説。巻末には「日本版」として、日本のスタートアップスタジオの活動内容も掲載している。

スタートアップ企業を立ち上げるのは、決して簡単なことではない。しかし、うまくアイデアを形にすることができれば、世の中を変えるような大きなイノベーションを起こせるかもしれない。スタートアップ企業の魅力や既に成功している企業のノウハウを学び、新たな挑戦への一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。