「起業アイデア」の見つけ方とは? ポイントと役立つ本をまとめ

起業のアイデアと聞くと、「誰も考えついたことのないもの」や「突飛なもの」を想像する人もいるかもしれない。しかし、重要なのは独自性よりも、有用性。誰かの役に立つことは、往々にしてビジネスとして成立し得る。また、それが好き、あるいは得意で長く続けられるものであるかどうかも、大切なポイントになる。

それらを踏まえたアイデアの出し方は、例えば、以下の6つが挙げられる。

【1】持っている知識と経験から考える

自分の持っている経験や知識から「これが得意」「これが好き」と思えるものをピックアップし、どうビジネスに繋げられるかを考えてみる。例えば、以下のような例が挙げられる。

起業アイデア例
  • 文章が得意⇒ライター、ブロガー
  • 写真が得意⇒フォトグラファー
  • イラストが得意⇒イラストレーター
  • 裁縫が得意⇒自作の商品を販売
  • 料理が得意⇒料理教室、飲食店開業
  • 話を聞くのが得意⇒カウンセラー、コーチング、コンサルタント
  • 話すのが得意⇒YouTuber、講師

何らかの資格や経歴がある場合は、それを活かしたビジネスもおすすめ。あるいは資格のないような何気ない経験も、事業のヒントになり得る。ついついしていること努力しなくてもできること、人に頼まれやすいこと、自分では大したことがないと思っていても周りに「すごいね」と言われることなど、自分の経験の棚卸をしてみよう。

事業になり得る資格や経歴、経験例
  • 翻訳
  • ウェブデザイン
  • 動画編集
  • プログラミング
  • アプリ開発
  • 経験を元にした講座やセミナー、電子テキスト販売

また、必ずしも自分で商品を作り出す必要はない。誰かの商品やサービスを販売することでも、ビジネスは成り立つ。販売や営業が得意であれば既存商品を売る事業を検討してみよう。好きな商品をアフィリエイト(成功報酬型広告)で紹介する手立てもある。

あるいは、誰かを応援・サポートするという形でも、起業は可能だ。資料作成代行やSNS運用代行、動画編集など、頑張っている人の支えになるビジネスもたくさん考えられる。

自分のアイデアだけではどうにもならないと思う場合は、ほかの人とアイデアを持ち寄ってコラボするのもいいだろう。

【2】身近な人に客観的意見を貰う

自分で好きなことや得意なことを思いつかなければ、家族や友人、パートナーなど、身近な人に見出してもらうという手段もある。

佐藤伝『ひとりビジネスの教科書』によると、友人に「お金を払ってでも、私にやってほしいことって、どんなこと?」と聞いてみると、意外なアイデアを掴むことができるという。ほかにも「私の強みってなんだと思う?」「私には何が向いていると思う?」など、まだ見ぬ自分を知るための質問をいくつかしてみると、新たな発見があるかもしれない。

【3】日常の不満、悩みをビジネスに置き換えてみる

普段の生活で、個人的な困りごとや面倒事、イラっとしたことがあれば、それらを解決してくれそうなもの、「こんなサービスがあればいいのにな」と思うことを形にしてみよう。自分の問題を解決する、あるいは自分の欲求を満たすビジネスを作ると、自分と同じように悩んだり、これがあったらいいなと思う人が現れて、顧客になってくれる可能性がある。

例えば、M&Cリサーチ『アイデアが生まれるとき』によれば、IKEAの梱包方法「フラットパック」は、社員の一人の不満から誕生しているという。彼がお店で買ったテーブルを車に積み込もうとしたら入らず、仕方なく分解して持ち帰り、組み立て直すはめになった。そこで上司に「そもそも分解されていたら、楽に持ち帰れるのに」と訴えたところから始まったそうだ。

自分に困りごとがないという場合は、ニュースサイトや新聞などから情報を取り入れ、世の中の情勢を学んでみるとヒントがあるはずだ。ふだんから注意深くアンテナを張って、ビジネスアイデアを探してみよう。

【4】既存ながら転用の利くビジネスを探る

海外にはあるけど国内にはない、都市にはあるけど地方にはないなど、既存ながら自分のまわりでは発展していないビジネスを探ってみよう。

ただし、先の例でいうならば、都市では受け入れられたが地方では受け入れられないなど、文化や土壌に特化したサービス・商品の可能性もある。自身がビジネスを行うならどう取り入れ、発展させていくかをしっかりと検討することが重要だ。

ほかにも、朝はあるけど昼はない、若い人向けにはあるけどシニア向けにはないなど、時間帯やターゲット層を変えてできないかどうかを検討してみる。特に、大企業が挑戦しそうにないニッチな分野、シェアが小さい分野は小規模経営にぴったりである。

例えば、平野敦士カール『使えるビジネスモデル見るだけノート』では、インドネシアに殺虫剤を提供した「フマキラー」の例が紹介されている。熱帯地方で虫が多いものの、殺虫剤が普及していなかったところに目をつけ、独自開発した商品を提供。現地で多くの顧客を獲得したそうだ。

【5】成功者の実体験を参考にする

Webサイトや本、講演会などから、既に起業した人の実体験を学んでみよう。自分には思いつかないような考え方やアイデアが得られることも。どのようにビジネスを思いつき、どう実行に移し、どう継続しているのか? 起業後のライフスタイルも想像しやすくなる。

おすすめ本
『「好き」を仕事にする働き方 東京下町のクリエイティブな起業』
イッサイガッサイ東東京モノづくりHUB

古くから製造業者や職人が多く、モノづくりの街として栄えるエリア・東東京。近年、そこで小さくもこだわりのあるモノづくりや場作りを行う起業家が増えている。本書はそんな起業家たちの体験談をまとめたインタビュー集。16組が写真付きで起業の経緯や商品・サービスのこだわり、個性豊かなビジネスモデルを回答している。雑貨屋やゲストハウス、飲食店など、多様なジャンルを掲載。

【6】既存のアイデア同士を組み合わせる

ありきたりなアイデアは、それ一つでビジネスにすることは難しくても、別のアイデアと組み合わせることで有益・ユニークなものに進化することもある。少しでもいいなと思ったアイデアは、メモしておくと後で役立つことも。日常にビジネスアンテナをしっかりと張り、適宜情報を集めながら、起業のタネを探してみよう。

起業アイデアを生み出す考え方を学べる本

起業アイデアを生み出すために、ふだんからアイデア力や発想力を鍛えるのもおすすめ。アイデアを生み出す考え方を学べる本たちは、こちら。

アイデア大全

42個ものアイデアを創出法をまとめた一冊。手法の解説だけでなく、それが生まれた背景や具体的な手順、具体例もたっぷりと掲載している。いわゆるビジネス視点の発想法はもちろん、哲学や心理学、芸術などの幅広い分野から手法をピックアップしている点も、面白いところ。

∞アイデアのつくり方

質のいいアイデアを生み出すためには、まず「量」が必要。では、たくさんのアイデアを思いつくにはどうすれば良いのだろうか。本書では、その一手として「アイデアしりとり」を提案。アイデアは「根性では生まれない」といい、無理せず無限にアイデアを生み出せる仕組みを解説している。

10億アイデアのつくり方

ゲーム機や食品、便利グッズなど、誰もが知る人気商品はいかにして生まれたのか? 数々のヒット商品を生み出した「キーニーズ法」を事例とともに解説。多様な名品の開発秘話も知れるほか、実践できるワークシートもダウンロード可能。

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