自分らしい、小さな「起業」に挑戦する。必要なステップと考え方、成功のポイントは?

「起業」はもはや、生き方・働き方の一つとして浸透してきている。本業としてはもちろん、週末起業や社内起業のように、別に仕事を持ちながら小さく起業する人もいる。SNSでは自らのビジネスについて発信している人も多く(発信そのものが仕事の人もいる)、ひと昔前に比べて、馴染みある分野となったのではないだろうか。

とはいえ、まだまだハードルを高く感じている人が多い印象だ。夢を持ちながらも、なかなか踏み出せない人もいるだろう。では、勇気を出して起業の第一歩を踏み出すには、どんな考え方や行動が必要になるのだろうか? 特に小規模の起業にスポットを当て、その生き方・働き方に挑戦するためのステップとポイントをまとめてみた。

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「起業」とは何か?

起業とは字の通り、事業を起こすことを指す。何らかの商品やサービスを販売したり、持っている技術を金銭と引き換えに提供したり……やり方はさまざまにあるが、自分で責任を負いながらビジネスをするという点が共通している。それはある種の挑戦、修業と考える人もいれば、自由や財産、自分の存在意義を手にする手段と考える人もいる。

今起業を検討している人もまさに、さまざまな野望や目的を持っていることだろう。想いがそれぞれ違うからこそ、世の中にはユニークな事業がたくさん生まれている。

「何」で起業する? アイデアの見つけ方

いざ起業するとなれば、最初に考えなければならないのが事業内容だ。いきなり事業を考えるのは難しいので、まずはその種となるアイデアを見つけてみよう。

起業のアイデアと聞くと、「誰も考えついたことのないもの」や「突飛なもの」を創造する人もいるかもしれない。しかし、重要なのは独自性よりも、有用性。誰かの役に立つことは、往々にしてビジネスとして成立し得る。また、それが好き、あるいは得意で長く続けられるものであるかどうかも、大切なポイントになる。

それらを踏まえたアイデアの出し方は、例えば、以下の5つが挙げられる。

【1】持っている知識と経験から考える

自分の持っている経験や知識から「これが得意」「これが好き」と思えるものをピックアップし、どうビジネスに繋げられるかを考えてみる。軽く例を挙げるのであれば、以下。

起業アイデア例

・文章が得意⇒ライター、ブロガー
・写真が得意⇒フォトグラファー
・イラストが得意⇒イラストレーター
・裁縫が得意⇒自作の商品を販売する
・料理が得意⇒料理教室、飲食店開業
・話を聞くのが得意⇒カウンセラー、コーチング、コンサルタント
・話すのが得意⇒YouTuber

何らかの資格や経歴がある場合は、それを活かしたビジネスも◎。あるいは資格のないような何気ない経験も、事業のヒントになり得る。ついついしていること、努力しなくてもできること、人に頼まれやすいこと、自分では大したことがないと思っていても周りに「すごいね」と言われることなど、自分の経験や考えの棚卸をしてみよう。

さらに、必ずしも自分で商品を作り出す必要はない。誰かの商品やサービスを販売することでも、ビジネスは成り立つ。販売や営業が得意であれば既存商品を売る事業を検討してみよう。好きな商品をアフィリエイト(成功報酬型広告)で紹介する手立てもある。

自分のアイデアだけではどうにもならないと思う場合は、ほかの人とアイデアを持ち寄ってコラボするのもいいだろう。

【2】身近な人に客観的意見を貰う

自分で好きなことや得意なことを思いつかなければ、家族や友人、パートナーなど、身近な人に見出してもらうという手段もある。

佐藤伝『ひとりビジネスの教科書』によると、友人に「お金を払ってでも、私にやってほしいことって、どんなこと?」と聞いてみると、意外なアイデアを掴むことができるという。ほかにも「私の強みってなんだと思う?」「私には何が向いていると思う?」など、まだ見ぬ自分を知るための質問をいくつかしてみると、新たな発見があるかもしれない。

【3】日常の不満、悩みをビジネスに置き換えてみる

普段の生活で、個人的な困りごとや面倒事、イラっとしたことがあれば、それらを解決してくれそうなもの、「こんなサービスがあればいいのにな」と思うことを形にしてみよう。自分の問題を解決する、あるいは自分の欲求を満たすビジネスを作ると、自分と同じように悩んだり、これがあったらいいなと思う人が現れて、顧客になってくれる可能性がある。

ジム・コリンズ『ビジョナリーカンパニZERO』によれば、この現象は「シロアリ効果」と呼ばれるもので、「自身の問題を解決することで、同じ問題を抱えていた(しかし従来型の市場調査では容易に発見できなかった)人々が突然どこからともなくぞろぞろ現れる」(p.369)のだという。

例えば、IKEAの梱包方法「フラットパック」は、社員の一人の不満から誕生している。M&Cリサーチ『アイデアが生まれるとき』によると、彼がお店で買ったテーブルを車に積み込もうとしたら入らず、仕方なく分解して持ち帰り、組み立て直したという。そこで上司に「そもそも分解されていたら、楽に持ち帰れるのに」と訴えたところから始まったそうだ。

自分に困りごとがないという場合は、ニュースサイトや新聞などから情報を取り入れ、世の中の情勢を学んでみるとヒントがあるはずだ。ふだんから注意深くアンテナを張って、ビジネスアイデアを探してみよう。

【4】既存ながら転用の利くビジネスを探る

海外にはあるけど国内にはない、都市にはあるけど地方にはないなど、既存ながら自分のまわりでは発展していないビジネスを探ってみよう。

ただし、先の例でいうならば、都市では受け入れられたが地方では受け入れられないなど、文化や土壌に特化したサービス・商品の可能性もある。自身がビジネスを行うならどう取り入れ、発展させていくかをしっかりと検討することが重要だ。

ほかにも、朝はあるけど昼はない、若い人向けにはあるけどシニア向けにはないなど、時間帯やターゲット層を変えてできないかどうかを検討してみる。特に、大企業が挑戦しそうにないニッチな分野、シェアが小さい分野は小規模・ひとり経営にぴったりである。

例えば、平野敦士カール『使えるビジネスモデル見るだけノート』では、インドネシアに殺虫剤を提供した「フマキラー」の例が紹介されている。熱帯地方で虫が多いものの、殺虫剤が普及していなかったところに目をつけ、独自開発した商品を提供。現地で多くの顧客を獲得したそうだ。

【4】成功者の実体験を参考にする

Webサイトや本、講演会などから、既に起業した人の実体験を学んでみよう。自分には思いつかないような考え方やアイデアが得られることも。どのようにビジネスを思いつき、どう実行に移し、どう継続しているのか? 起業後のライフスタイルも想像しやすくなる。

【5】既存のアイデア同士を組み合わせる

ありきたりなアイデアは、それ一つでビジネスにすることは難しくても、別のアイデアと組み合わせることで有益・ユニークなものに進化することもある。少しでもいいなと思ったアイデアは、メモしておくと後で役立つことも。日常にビジネスアンテナをしっかりと張り、適宜情報を集めながら、起業のタネを探してみよう。

起業支援組織「スタートアップスタジオ」

起業家やフリーランス、イノベーターなど、さまざまな人材が一堂に集まり、同時多発的に事業を起こせるように支援する組織。一人や身近な仲間と起業するのももちろんやりがいがあるが、スタートアップスタジオに所属すれば、ふだん接点のない異業種の人々や、ユニークなアイデアを持つ人と出会い、新たな事業を立ち上げることも可能だ。現在スタートアップスタジオは、日本を含め世界各地に点在している。

▶アッティラ・シゲティ『STARTUP STUDIO 連続してイノベーションを生む「ハリウッド型」プロ集団』
スタートアップスタジオとはどんな組織か? どのようにして事業が立ち上がっていくのか?欧米諸国の実例と戦略を解説。巻末には「日本版」として、日本のスタートアップスタジオの活動内容も掲載している。

アイデアを具体化し、ビジネスモデルを検討する

起業アイデアを思いついたら、次はそれを具体的な商品やサービスに転換させる必要がある。今考えているアイデアはどんな形で販売・提供することができるか? ビジネスモデルを考えてみよう。

【1】そのアイデアは、販売できる商品やサービスになるか?

アイデアをどんな形にして提供するのか? 利益を出す仕組みにするにはどうすればよいか? アイデアが商品やサービスとして成立するか、検討してみよう。どんなに素敵なアイデアだったとしても、独りよがりな商品やサービスでは売りにくい。誰かに「売る」ことを意識する必要がある。

具体的な形にするのが難しければ、似た商品やサービスがあるか調べてみたり、「ChatGPT」などのAIでアイデアを壁打ちしてみたりするのもおすすめ。AIを使う場合は、自分が持っているアイデアにまつわる質問を投げかけて答えてもらい、自身のアイデアの磨くべきポイントを探ってみよう。

【2】販路や販売手段はあるか?

販売ルートや販売手段も考えてみよう。お店を持つ、ホームページを制作するなど、商品によって適した手段は異なる。自分で場所を用意することが難しければ、既存サービスの力を頼ることも考える。例えば、お店であれば間借りやシェアサービスを利用する、ネットであれば「BASE」「shopify」などの活用が考えられる。それ以外にも、誰かに対価を支払い、代わりに売ってもらう手段もある。

【3】見込み客はいるか?

さらに、商品やサービスを提供する相手=見込み客を考えてみよう。 万人に売れる商品やサービスを考えるのは難しいうえに、熱のあるファンを作ることも難しい。属性や年齢、「〇〇に困っている人」など、ある程度ターゲットを絞るのがおすすめ。

その商品・サービスはどんな人に関心を持ってもらえそうか? その人々は個人か法人か? ある程度絞ることができたら、試しに見込み客にアンケートを取ったり、サンプルを提供して感想を聞くなどして、需要を探ってみるのも◎。残念ながら見込み客が思い浮かばない場合は、どんなにいい商品でも方向転換を検討する必要がある。

【4】競合はいるか?

似た商品やサービスを既に販売しているお店や会社があれば、それがどれくらいいるのか、そして、どんなふうに、どれくらいの価格で販売しているのか調べてみよう。

さらにもし自分が販売するとしたら、勝てる強みはどこなのかを考えてみる。競合は参考にもなるが、ライバルでもある。差別化を図り、勝ち抜く手段を検討しなければならない。

注意したいのは、同業者だけでなく、異業種でも競合の可能性があるということ。同じ価格帯で同じターゲット層が利用している可能性が高いものは、競合となり得る。また、もし競合がいない場合は、市場規模が小さい可能性も考えられるだろう。改めて見込み客がどれくらいいるのか、SNSやまわりへの聞き込みをして調べてみよう。

【5】価格設定はどれくらいか?

商品やサービスの値段を考えてみよう。価格設定の方法はさまざま。まず、商品やサービスにかかる原価に利益を上乗せする方法。あるいは、競合の基準に合わせて値段設定をする方法。自分が売りたいと思っている価格、お客様が納得する売れる価格、競合の価格の3つのバランスを上手に取ることが重要だ。

経営体制、事業計画を考える

具体的なビジネスモデルが出来上がってきたら、次に経営体制、さらに必要な資格、設備、資金などをピックアップし、細かい事業計画を練っていこう。

【1】人数と経営体制

一人で行うのか、複数人で行うのか、個人事業主か法人化か? ビジネスモデルや自分のライフスタイル、価値観に合わせて経営体制を考えてみよう。個人事業主と法人ではさまざまな違いがある。個人事業主は開業までのステップが簡単、設立費用もなく手軽に事業を始められるが、法人の方が信頼度が高い、個人では取引してもらえない企業と取引できる可能性がある、融資を受けやすいなど、それぞれにメリット・デメリットがある。

自分で一から起業するのが難しければ、フランチャイズに加盟したり、M&Aで既存の会社を買収する手段もある。特に近年は企業の後継者不足が問題となっているため、引き継ぎ先を探している会社を探してみるのもいいかもしれない。

フランチャイズ起業

飲食店やコンビニエンスストアなどは、本部から資金やノウハウの援助を受けて開業する「フランチャイズ起業」という手段もある。一から開業するよりも、初期の準備が整っているために成功しやすいとされている。

ただし、本部の援助に頼り切りで自身で何も考えないのでは、失敗してしまう可能性も。また、本部に上納するロイヤリティがあるのがデメリット。フランチャイズで経営する場合は、自分で起業しているという認識を持って、経営に臨むのが◎。

▶『こうすれば成功する! フランチャイズ起業』中川強
フランチャイズ起業とはどんなものか? 業界の現状、本部の情報収集方法やアクセス方法、加盟店になるまでの具体的なステップ、成功のポイントを解説。リアルな失敗事例も掲載されており、リスクを学ぶのにもおすすめ。

さらに会社によっては、社内で新規事業を立ち上げさせてくれる「社内起業」システムもある。会社を辞めずして起業の夢を叶えることができるうえ、既存のブランド力や経営資源を活用できる、経費を削減できるなど、メリットも多い。

ただし、既存の組織に所属して行うからこそ、意思決定の自由度が低い、社内ルールなどの制限がある、社内からの批判や逆風を受ける可能性がある、利益や権利を総取りできないといったデメリットも。社内起業できる環境にある場合は、自分のしたいことやメリット・デメリットを考慮し、検討することが重要だ。

『社内起業家』岩田徹
会社に属しながら起業するとは一体どういうことなのか? 社内起業の実態やメリット・デメリットに触れつつ、8人の社内起業家によるリアルストーリーを掲載。会社員と起業家の間の生き方、キャリアを教えてくれる。

【2】必要な設備

商品を自作する場合は必要な道具や作業スペース、販売する店舗テナント、ホームページのサーバーなど、必要な設備や備品を洗い出してみよう。買う、借りる、外注するといった手段によってかかる費用も変わってくるため、どのように調達するかルートも具体的に検討してみよう。

【3】必要な資格、許可

提供するサービスや商品によっては、資格や許可が必要になる場合もあるだろう。例えば飲食店であれば「飲食店営業」の許可、お菓子屋さんであれば「菓子製造業」の許可を所轄の保健所から、中古品販売であれば所轄の警察署で「古物商」の許可が必要になる。自分のビジネスで必要になる資格や許可がないか調べ、適宜取得しよう。

【4】営業・販促・PRの方法

商品やサービスを知ってもらう、販路を広げるためにも、営業や販促、PRといった宣伝活動も重要だ。チラシ配布やポスティング、SNSやホームページの活用など、自分の商品・サービスにとって効果的なものを検討してみよう。

【5】必要経費・資金調達方法

上記の情報が揃ったところで、実際にどれくらいお金がかかるのかを計算してみよう。さらに、それらを揃える場合に自己資金で調達できるのかを検討してみる。

難しければ、別のところからの資金調達が必要になる。例えば銀行からの融資やクラウドファンディング、民間・公的機関で開催されるビジネスコンテストに参加、補助金・助成金申請などが挙げられる。

小さな起業を成功させるポイント

自分でビジネスを起こすことは、実に大変な作業である。どうすれば成功に導けるのか、ポイントをいくつか考えてみる。

【1】ハードルを下げて着実に進む

人材が足りない、お金が足りない、自信を持って売れる商品やサービスができていない……起業にはいくつものハードルがあり、悩みも尽きない。ゆえに完璧に準備してから起業しようと思うと、なかなか始められないこともある。

そんなときは、未完成でもいいから一歩踏み出してみることが大切だ。経営をしていく中で気づくことや、商品やサービスを見かけた人にフィードバックしてもらえることもある。トライ&エラーを繰り返し、長期的な目線で取り組んでみよう。

起業を小さな一歩から始める重要性は、さまざまなところで語られている。例えば、今井孝『起業1年目の教科書』では、「起業とはハードルの高い大きなチャレンジだ」という考えは「勘違い」だと断言し、「ありきたりのアイデアでスタートする」「夢はなくてもいい」「数字に弱くていい」と起業のハードルを下げつつ、自分のペースで着実にステップアップできる手法を解説している。

あるいは吉田満梨・中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』では、自分が既に持っている手段から「何ができるか」を考え、行動を起こす「エフェクチュエーション」が起業に有用であることを主張し、その考え方と実践方法をまとめている。

早々に大成功することを夢見るのも悪くはないが、急激な成長はハイリスクであるほか、ストレスになることもある。無理をし過ぎず、自分のペースで成長していくことを目指そう。

【2】小さな試行錯誤・改善を繰り返す

完璧な商品やサービスを作るには、膨大な時間やコストがかかる。さらに自分で完璧だと思っていても、それが売れるとは限らない。初めから完璧にしようと思わず、とりあえず試作し、誰かに意見を仰ぎ、改良を繰り返していくことが大切。試しに小ロットで販売して、お客様のフィードバックを参考にしてみるのもいいのではないだろうか。例えば、以下。

小さな試行の例

・飲食店をやりたい⇒誰かに料理を食べてもらう、誰かをもてなしてみる、間借りで期間限定営業に挑戦する
・CDを売りたい⇒デモを作って誰かに聞いてもらう、数量限定で販売する
・オリジナル商品を販売したい⇒イメージ図や3Dモデル、試作品を作って意見をもらう、数量限定で販売する

スキル不足、知識不足は回数を重ねながら補っていくつもりで、最初は商品・サービスの基盤を作っていると考えてみよう。

ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』では、名だたる企業が小さな実験を繰り返してきていることに触れ、「小さな一歩が、大きな戦略転換の基礎になり得ることを忘れてはならない」と指摘している。「一歩ずつの革命」が、やがては自社や自店の礎になるはずだ。少しずつ修正を繰り返し、粘り強く強固な基盤を築いていこう。

【3】複数の商品・サービスでリスクを分散する

初めは一つの商品・サービスで十分だが、後の経営を考えると、複数の商品やサービスを展開し、リスクヘッジを行うことが望ましい。提供している商品・サービスに関連するものを併せて売るのもおすすめだ。

一つに絞る手法も有効ではあるものの、すぐに自分だけの売れる商品・サービスが出来上がるとは限らない。やってみたいビジネスをいくつか試しにやってみて、後から絞っていくこともできる。

【4】何を「しない」かを決める

ある程度のリスク分散は、身を助けてくれる。その一方で、何でもかんでも手を出しすぎるとキャパシティオーバーになったり、中途半端になってしまうこともあり得る。何を「しない」かを決めることもまた、起業において重要。あらゆる誘惑を断ち切って、自分の最優先事項に集中しよう。

また、起業の場合は熱意を持って取り組み続けられるかがカギになる。業務の中に、どうしても苦手なこと、ほかの作業に比べて多大な時間がかかってしまうこと、モチベーションが下がってしまうことがあれば、自分で取り組むのを止めて、ほかの手段に変えられないか、外注できないか検討してみよう。

【5】当初のアイデアや考え方に固執しすぎない

最初に練りに練ったアイデアや戦略は、強い味方となってくれる。しかし、もし何か間違っているかもしれない、失敗したかもしれないと考えるのであれば、一度立ち止まって軌道修正することも大切。起業したからこそ見える道もある。

失敗していると思いながらも、こだわったアイデアだからといって固執しすぎてしまうと、損失がどんどん大きくなっていく。もし修正できないと感じたら、見切りをつける勇気を持とう。

【6】事業に関連する知識を学び続ける

自分が身を置く業界のこと、市場のこと、ビジネスの基礎知識など、事業に関連することは、少しずつでもいいから学びつづけよう。

特にお金の知識は重要だ。経理、税金、資金繰りなど、どんなに小さな事業でも、自分でビジネスを行って報酬を得る限りは、お金の問題から逃れられない。専門的な知識を身に付ける必要はないが、身のまわりのお金を管理できる最低限の知識は持っておきたい。

そのほか、マーケティングや集客、ブランディング、SNS活用など、自分の事業に関連性の高いことは、随時知識を身につけていきたいところだ。

【7】ダブルワークや副業・複業も視野に入れる

いずれ起業したビジネスを本業にするとしても、すぐに仕事を辞める必要はない。副業や複業で起業する手段もあるし、今の勤務先で起業のための実績を積んだり、起業に向けて実践力を磨いたりするのも◎。

例えば、パトリック・J・マクギニス『10%起業 1割の時間で成功をつかむ方法』では、自分の時間のうち、たった10%を活用して起業するアイデアや実践方法を提案している。「いちかばちかの賭けではなく、今の生活に付け足す」(p.9)ビジネス。これは先に述べたポイント、「ハードルを下げて着実に進む」「小さな試行錯誤・改善を繰り返す」にも通ずる。

【8】時間管理や健康管理にも気を遣う

起業には時間も、体力も必要になる。特に本業が別にある場合は、その配分により気をつける必要がある。長く、安定的に事業を続けるためにも、時間管理・健康管理にはしっかりと気を配ろう。

今、できることからスタートする

いつか起業してみたい、こんなビジネスをやってみたい……脳内で考えていてもなかなか挑戦できない人はかなり多いが、それではもったいない。頭の中にすでに小さなアイデアや夢があるなら、スモールスタートでいいから一歩踏み出してみてはどうだろうか。

起業は決して簡単なことではないけれど、難しく考えすぎる必要もない。低リスクで始めてみて、「何か違う」と思えばまた、やり直せばいい。まずは今できることから、やってみよう。

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