お店の思いやコンセプトを図案化したロゴは、一目で”そのお店らしさ”を表現してくれるアイテムだ。看板やパッケージなど、多様な場面で個性を示してくれるほか、お店の視認性を高め、ブランディングにも貢献してくれるだろう。
では、自分たちらしい魅力的なロゴを作るには、どんな考え方や準備が必要になるのだろうか? 押さえておきたいポイントを、書き出してみる。
Contents
ロゴを制作する前に考えたいこと
ロゴを制作するにはまず、デザインの土台となる考え方や方向性を整理する必要がある。そこで、下記の3点を考えておきたい。
【1】お店に対する思い、こだわり
ロゴのコンセプトやテイストを決める際に核となるのは、やはり、お店に対する思いやこだわりだろう。例えば、下記が挙げられる。
・お店のコンセプト
・どんな思いで開業し、経営しているのか?
・経営理念やコアバリュー
・お店の強み
・将来のビジョン
また、これらからイメージできるアイコンやキーワードがあれば、それも整理しておきたい。海辺のレストランであれば、海や砂浜、魚介、アパレル店であれば、Tシャツやデニム、ショッパーなどが考えられる。
さらに、ロゴは何年も使っていくことが予想されるため、現状だけでなく将来的な展望もある程度考えてみたい。難しければ、一旦今の思いのみでロゴを制作し、経営スタイルの変化に応じてリニューアルするという手もある。
ただし、既存のロゴからまったく違うデザインへの変更は、従業員もお客様も戸惑うほか、せっかく獲得したブランディングを手放すことになってしまう。リニューアルは、既存のデザインを進化させるイメージで検討したい。
【2】ロゴを通して、どんな印象を持ってもらいたいか
スタッフ全員が満足できるロゴを作ることも大事ではあるが、一番気にかけたいのはやはり、お客様がどう思うかではないだろうか。そこで、お客様に持ってほしい印象についても、考えたい。
例えば、親しみやすさを持ってもらい集客に役立てたい、格式の高い印象を持ってもらいブランディングに役立てたいなど、ロゴを作る目的も併せて考えてみると、より具体性が増すだろう。
ちなみにお客様の意見をより反映したい場合は、決定前に直接お客様に見せて意見を聞いてみる、という手段もある。そのロゴに対してどんな印象を持ったか、アンケートを取ってみるのもいいだろう。これは従業員に対しても同じことが言える。
【3】いつ、どんなふうに活用するか
看板のように実店舗で大きく載せる場合と、SNSのアイコンのようにWeb上で小さく載せる場合では、ロゴの印象も変わる。そこで、いつ、どんなふうに活用したいかを考えたい。ロゴの活用箇所としては、例えば、下記が挙げられる。
・看板や店内の装飾
・名刺やショップカード
・ホームページやブログ、SNS、広告などのWeb
・チラシ
・紙コップや紙ナプキン、コースター、グラス、器、ショッパーなどの備品
・トートバッグやTシャツなどのオリジナルグッズ
・商品パッケージ
・10周年などイベントや記念の品
・請求書や領収書、レシートなどの書類
小さいサイズで表示することをメインとする場合は、できるだけシンプルに作ることが望ましい。複雑なデザインは、潰れてしまう可能性がある。一方、大きく掲載する場合には、デザインが目立つために、細部も検討する必要があるだろう。さらに、掲載する場所の背景色によっても印象が変わるため、こちらも事前に確認したい。
ちなみに、海外展開やインバウンド向けのビジネスを考えている場合は、色や形にも配慮が必要だ。国や文化によって印象が大きく変わるため、国内で良い印象のものが、そのまま海外で通用するとは限らない。
ロゴ制作は自作か、依頼か?
ロゴを作る際には、自分たちで作る方法と、グラフィックデザイナーやロゴの制作会社に依頼する方法がある。自分たちで作る場合は、コストを抑えられ、細かいこだわりがある場合はそれを突き詰められるだろう。
一方でプロに依頼した場合は、専門家の知識によってより効果的なデザインにできる、自分たちでは思いつかなかったアイデアにたどり着けるなどのメリットが考えられる。
いずれにせよ、ロゴはブランディングや集客などに大きな影響を及ぼすため、自分たちが納得のいく選択をしたい。
ロゴ制作で押さえておきたいポイント
続いて、ロゴデザインを検討する際に、どんなポイントを押さえておけばよいか考えてみる。
【1】ロゴのベースを考える
ロゴには、基本のバリエーションがいくつかある。例えば、下記が挙げられる。
・店名などの文字のみをデザイン(フルネーム、イニシャル、略語など)
・図案のみをデザイン(アップルのりんごマークなど)
・店名と図案を組み合わせる
・キャラクターを活用する
これらはどれも、それぞれに魅力がある。例えば、店名のみのデザインはわかりやすく、名前を覚えてもらいやすい。一方で図案やキャラクターの活用は、お店の世界観をしっかり印象付けられる。文字と図案の両方の活用は、いいとこ取りの案ではあるが、デザインによってはシンプルさに欠け、逆にわかりづらくなる可能性もある。
これらのどれを選ぶべきかは、お店のコンセプトや経営理念、活用場所などによっても異なるだろう。
【2】込めたい思いを絞り込む
お店に対する思いをしっかり込めたい……それはとても大切ではあるが、あまりにあれこれと詰め込みすぎると、かえって散らかった印象になり、何が言いたいかがわからなくなってしまう。結果としてお客様にその思いが伝わらなければ、残念ながら、ロゴの意味をなさない。
一番込めたい思いは何か? お客様に何を感じ取ってもらいたいか? 制作前に考えたことを整理しながら、絞り込んでいきたい。
【3】文字の種類やデザインがもたらす印象を考える
文字を活用する場合は、文字の種類やデザインがもたらす印象についても考えてみたい。例えば店名がアルファベットの場合は、大文字か小文字かで印象が変わるだろう。日本語の場合でも漢字やカタカナ、ひらがなの使い分けによって、多様な印象を与えられる。
また、文字の太さやフォントでも印象は変わる。自店のコンセプトや雰囲気、与えたい印象を踏まえて検討したい。そのためには、いろんな表記を試してみるのがいいだろう。
どの場合でも大切なのは、文字がはっきりと読めることだ。複雑な組み合わせにしすぎると視認性が悪くなり、ロゴとしての有用性が低くなってしまう。
【4】配色に気を遣う
ロゴに色を付ける場合は、色がもたらす印象も考えておきたい。例えば、赤は情熱的・明るい、青は爽やか・落ち着いている、といったように、各色には多くの人が持つ「イメージ」がある。そうした色の印象に気をつけながら、お店のイメージカラーやロゴの色を考えてみたい。
目立つようにたくさんの色を活用したり、インパクトのある配色でアピールしたいと考えることもあるかもしれないが、色の使い過ぎや明る過ぎる色合いなどは、かえって見にくくなる可能性もある。ロゴで重要なのはわかりやすさ、見やすさであるため、その点への配慮も忘れないようにしたい。
また、活用箇所によって適した色も異なるだろう。その場合に備えてカラーバリエーションやモノクロのバージョンを用意するという手もある。
【5】普遍性を意識する
今流行りのデザインにしたいと考える人もいるかもしれない。それも一つの戦略ではあるが、ロゴは長く使うことを前提としている。世の中に知ってもらい、それが浸透していくには、長い時間がかかるからだ。ゆえにトレンドを追いかけることばかりを考えていると、数年後には使いにくいデザインになっている可能性もある。
そこで重要なキーワードとなるのが、「普遍性」である。変化の多い現代の中でも、できるだけブレない志を表現したい。先述のようにリニューアルする場合でも、核のデザインは変えずに進化させるイメージが望ましい。
【6】他店のロゴを参照する
ロゴ制作を進める中で、悩みや不安が出てくることもあるだろう。そんなときは、Webや書籍から、ロゴデザインの情報や事例を学んでみるなどすると、発見があるかもしれない。Webであれば、ロゴストックなどがある。
他のロゴを見ていくうちに、自店のロゴの魅力や改善点が見えてくることもあるだろう。ただし、当たり前のことではあるが、デザインの盗作は絶対にNGだ。真似するのではなく、あくまで参考にするのみとする。
【7】運用ルールを決める
ロゴができたら、運用ルールを作っておくと、トラブルが少なくなる。例えば、下記のような点をまとめておきたい。
・基本のサイズ、色、書体、配置(必要な余白など)
・ロゴに込めた思いやこだわり、コンセプト
・正しい活用法
・使用できる媒体
・可能な背景色
・禁止事項とNG使用例
これらをルール化しておくことで、あるべきロゴの姿を、いかなる場合でも保てるようになる。ロゴが常に正しく活用されることは、ブランディングにおいても重要である。
ちなみに、出来上がったロゴは他からの模倣・そしてこちら側の無意識の模倣(知らないうちに似たデザインを作ってしまっているケースもあり得る)を防ぐために、商標登録するという手段もある。トラブル回避のために、検討してみたい。
ロゴを作る際にはお店のコンセプトや経営理念などのスタンスをはっきりさせる必要があるが、逆に、ロゴを制作することによってより世界観や軸をはっきり持つことができ、より魅力的な店づくりに注力できることもある。スタッフ間でも共通認識ができ上がり、チームの士気が高まることもあるだろう。
参考文献
『GOOD DESIGN FILE 愛されつづけるデザインの秘密』高橋克典
『美しい小さな飲食店の間取り』エクスナレッジ編
もっと「開業準備」に役立つ記事を探す























コメントを残す