飲食店のワンオペ営業、メニュー構成のポイントを考えてみる

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飲食店をワンオペで営業する場合は、接客・調理ともにすべて一人で行うことが前提となる。ゆえに、お客様を楽しませつつも、料理はスムーズに提供することが、重要なポイントと言えるだろう。

せっかくの一人での営業であるから、もちろん料理もこだわりたい。一方で、お客様をお待たせし過ぎない工夫、効率もかかせない。つまり、「出したいメニュー」と「出せるメニュー」のバランスを上手く取ることが大切になるのではないだろうか。では具体的に、どんなふうにメニュー構成を行うべきか? そのポイントを、探ってみる。

【1】メニュー数を厳選する

種類を増やし過ぎると、そもそも把握が難しい、オペレーションに時間がかかる、さらには仕入れに必要以上のコストがかかる、在庫を圧迫するなどデメリットも多い。そこで、メニュー数は、自分で管理できる量のみに留めたい。例えば、一日に出せる品数を20品ほどと限定し、実際に提供してみながら調整し、自分が気持ちよく営業できるメニュー数に絞っていく。

とはいえ、メニューを減らすことに不安を感じる場合もあるだろう。経営者自身・お客様ともに満足度が減ってしまう可能性もあるからだ。それならば、例えば、名物料理を作ったり、一つの料理の専門店にして、メニューを絞っていることを武器にするという手が考えられる。絞ることで「○○といえばこの店」とブランディングに繋げられる。

あるいはメインとなる料理の味付けにバリエーションを加えたり、トッピング、セットメニューを考えるという手もあるだろう。定食やワンプレートのような、一皿で満足度の高いものを提供する手段もある。

また、いろんな料理を出したい場合には、「日替わり」や「おまかせコース」を作ることで、その日の仕入れを調整しながら、こだわりの料理を提供できる。複数の料理を慌ただしく提供することが不安であれば、開始時間を決めておき、すべてのお客様を同時スタートさせる手もある。厳選しつつも、可能な範囲で自由度を高めることはできるはずだ。

ちなみに、事前に飲み物のペアリングも準備しておけば、お客様の満足度を高めつつ、お店側も落ち着いてサービスできる。お酒を売りにする場合は考えてみたい。

【2】営業中の作業が少ないメニューを取り入れる

営業中は接客や急な対応にも追われやすい。ゆえに、営業中の調理作業をできるだけ減らすことも考えてみたい。例えば、下記の3点が考えられる。

調理工程が少ない料理・ドリンクを取り入れる

最初に提供する料理など、スピードが求められる場合に備えて、調理工程が少ない料理を取り入れてみる。サラダや冷前菜、ドリンク類、既製品との組み合わせでできるものなどが考えられるだろう。新鮮な野菜や魚、ハムやチーズなど、こだわり抜いた食材であれば、調理工程が少ない・あるいはそのまま提供することが武器になる。

既製品はカット済みの野菜や、冷凍餃子のような加工品が考えられる。飲み物であれば、食後のコーヒーを高品質のコーヒーマシンで用意するなどが挙げられる。また、ほかの食品店や飲食店とのコラボを行い、自店で作れそうにない料理やデザートを取り寄せるといった手もあるだろう。

営業前に仕込みを行う

もし調理工程が多い場合でも、仕込んでおける料理であれば、営業中の作業を減らすことができる。例えば、以下のような料理はどうだろうか。

・煮物やカレーなどの煮込み料理
・漬物やマリネなどの染み込ませておく料理
・ハンバーグなどの、ある程度の数を作っておけるもの
・冷蔵、冷凍可能な料理
・そのほか、日持ちのする料理

また、付け合せの野菜を茹でておくなど、一部を仕込みにするという方法もある。カフェであれば、焼き菓子をあらかじめ作っておくなどが考えられるだろう。

盛り付けを事前に決めておく

調理だけでなく、盛り付けもさっとできるものが望ましい。事前に盛り付けを決めておけば、当日はその通りにするだけで済む。オープンキッチンで営業している場合は、仕上げの部分を客前で披露することで、盛り付けの時間も演出に変えることができる。時間がかかる場合は、こうした雰囲気作りの工夫を凝らしたい。

ワンオペは特に、シェフ本人が直接お客様に料理を提供できることが魅力だ。目の前でソースをかける、バーナーで炙る、液体窒素を活用するなど、その場でできる演出を一手間加える手もある。

そのほか、盛り付けをあえてシンプルにして、器で料理を彩るという手法も考えられる。

どんな構成にするにしても、メインの料理はしっかりと作り、デザートやドリンクは既製品を仕入れるといったように、どこをこだわり、どこを効率化するか、取捨選択をしっかりと考えたい。

【3】お待たせする料理は前もって対応する

自分だけの店だからこそ、「時間はかかるが出したい料理」もあるだろう。その場合には、メニュー表に「提供に時間がかかりますので、先にご注文することをおすすめします」といった注意書きを添えておくと、お客様も心の準備がしやすい。また、「二日前までに予約をお願いします」といったように、料理の事前予約のシステムを取り入れる手もある。

例えば、『バル・ビストロ・カジュアルレストラン ワンオペ店の仕込み術』(柴田書店編)では、「火鍋」をメニューに取り入れた事例が取り上げられている。三日前までに予約を受け付け、事前に食材やたれを用意し、当日はお客様にまかせて楽しんでもらう仕組みとなっている。

【4】仕入れや在庫管理のしやすさを考慮する

あれこれと仕入れすぎると、在庫管理にも時間を取られる。また在庫が多いと食品ロスが増え、余計なコストがかかることにも繋がってしまう。

ゆえに、食材の一部は複数の料理で活用できる汎用性の高いものを選び、仕入れや在庫管理を効率化したい。オーソドックスな野菜や肉類であれば、前菜や副菜、メインなど幅広く使えるだろう。こうした基本の仕入れに加え、季節ものや少量でしか仕入れられない貴重な食材などを組み合わせれば、こだわりをキープしたまま、ワンオペでも上手く管理できる。

仕入れすぎてしまった食材は調味料やソースにする、その日限定のおすすめメニューに活用するなど、対応を決めておくという手も考えられる。

ちなみに、ワンオペ営業は実に多くのことに気をまわさなければならないため、発注忘れも起きやすい。仕入れリストや在庫リストを作っておくなど、忘れずに済む仕組み作りにも気を配りたい。

【5】急なメニュー変更にも対応できる準備をする

上記のようなメニュー構成を行っても、予期しない食材の不備やお客様のご要望なども考えられる。どこまで対応するかはお店のスタンスにもよるが、いざというときに慌てない準備をしておくことで、より安心して営業できるだろう。

例えば、定休日と別に仕込みの日を作り、ほとんどの仕込みを終わらせておく。その際、トマトソースなどの汎用性の高いものや、冷凍できる・日持ちするものは余分に作っておくという手もある。また、急な対応に備えて、まとめてだけではなく、小分けして保存することも検討したい。

予約を取る場合は、あらかじめお客様の苦手な食材やアレルギーを聞いておくことで、食材変更の対応を減らすことができる。

【6】準備や提供を効率化する仕組みを作る

メニュー構成そのものからは少し離れるが、料理の準備や提供を助けてくれる仕組み作りをすることで、メニューの幅が広がる。

例えば、厨房のレイアウト。どの場所に何を置いておけば、スムーズに調理に臨めるのか? シミュレーションしながら、配置を考え直してみる。また、圧力鍋やスチームコンベクションオーブン、保存のための真空包装機など、調理を助けてくれるアイテムや設備への投資をしっかりと検討する。

さらには、セルフサービスを取り入れるという手もある。お水やコーヒーなどの飲み物をドリンクサーバーで提供する、サラダバーのようなお客様自身で選べるメニューを用意するなどが考えられるだろう。ただし、高級感を意識している業態など、コンセプトによっては適していない場合もあるため、お店のスタンスを踏まえて導入を決める必要がある。

また、効率化アイテムが客席からはっきりと見えていると、興ざめしてしまうお客様もいるだろう。その場合は、見えない位置に隠す必要がある。自身のやりやすさとお店の雰囲気作りのバランスを注意深く取っていきたい。

一人での営業は大変なことも多いが、経営者自身の思いを実現できる魅力的な手法でもある。やりたいこと・やれることの両方を踏まえることで、心地よく営業できるメニュー構成が出来上がるはずだ。

参考文献
『一からわかる! 繁盛する小さな飲食店のつくり方』赤土亮二
『バル・ビストロ・カジュアルレストラン ワンオペ店の仕込み術』柴田書店編
『ワンオペ完全マニュアル: バル・ビストロ・レストラン 20店が実践する一人で店をまわすための仕事術』柴田書店編