ワンオペで飲食店を経営、成功のポイントを考える。こだわりと効率化をどう両立する?

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ワンオペで飲食店を経営する場合、やはり、自身のこだわりを思う存分発揮したい。しかし、自分しかいないからこそ、時間や作業量にどうしても制限が出てしまう。また、その制限を超えて頑張りすぎると、体調不良などから、結果として閉店を余儀なくされる可能性もある。

長く、健やかに経営していくためには、自分のやりやすいスタイルを追求し、無理なく営業することが大切になる。こだわりと効率化を、上手く両立させなければならない。では具体的に、どのような点に気をつければ良いのだろうか? 飲食店のワンオペ経営を成功させるために、押さえたいポイントを書き出してみる。

【1】心地よく働ける営業スタイルを検討する

自分の体力や精神力の負担、売上やコストの予測、お店のコンセプトなどを踏まえて、どんな形であれば、気持ちよく働けるかを考えてみる。具体的には、下記のポイントを考えたい。

・実店舗か、間借りやキッチンカーか
・営業日数と営業時間
・客席数
・客席のレイアウト(テーブル席を用意するか、カウンターのみにするかなど)
・イートインか、テイクアウトやデリバリーか
・メニュー数

例えば、一般的な飲食店では週に一回の定休日を設けることが多いが、一人で営業することを踏まえれば、週に二回定休日を作り、一日は休み、もう一日は仕込み日にするなどが考えられる。あるいは朝のみ、ランチのみ、夕方のみ、といったように、時間を絞って営業する手もあるだろう。一人だからこそ毎日頑張りたくなる気持ちもあるかもしれないが、体調を崩して休業・閉店してしまっては元も子もない。しっかり休むことを心掛けたい。

あるいは、コスト面を考えて、実店舗を持たずに間借りやキッチンカーを検討したり、店内でのサービスの時間や手間を減らせるデリバリーやテイクアウトにする。イートインにする場合は、テーブル席を用意すると、自らそこまで配膳を行う必要が出てくる。一方、カウンター席のみの設置であれば、注文・配膳、さらにお客様とのコミュニケーションをそこで完結できるだろう。

店内のレイアウトはある程度最初に固めなければならないが、営業時間や日数などは、最初に決めた通りにやり続ける必要はない。まず実験的にキッチンカーで営業してから店舗を持つ、週5日の営業が難しいので週4日に変更するといったように、スモールステップで挑戦しながら改善していきたい。

【2】予約や会計などをDX化する

こだわる部分と効率化する部分を考える。その際に比較的効率化しやすいのは、予約や会計など、デジタルサービスに頼れる部分ではないだろうか。

予約は専門のサービスを利用するほか、お店のホームページやグルメサイト、SNSのDMなどで受け付ける手もある。電話で受け付ける場合は、忙しい時間帯は電話に出ないと決めるなど、いつでも取らなければならない状況を避ける方法もある。

会計については、決済サービスを導入するほか、POSレジで集計まで簡略化する手もある。近年では完全キャッシュレスにして、現金でのやり取りの手間やミスの可能性をカットしているお店もある。現金でやりとりする場合は、券売機を設置するという手もあるだろう。

【3】外注や設備投資で効率化を図る

DX化に続いて、大きな効率化の手段として、外注や設備投資がある。

例えば清掃や後片付け。日々の清掃は自身で行いつつ、エアコンやダクト、グリストラップなどは専門の業者に定期的にお願いする。あるいは、ロボット掃除機や食洗機などの設備を導入することも考えられる。

外注や設備投資は、決して安いとは言えない。資金をできるだけ節約したい気持ちもあるかもしれないが、オペレーションを早くして回転率を上げる、注文数を増やして売上アップにつなげるという考え方もある。どちらが自店にとってよいか、しっかり吟味したい。

【4】段取りに気を配る

一人ですべてをやり切るには、日々の業務をルーティン化し、段取りよく進める必要がある。具体的には、下記の段取りを決めておきたい。

・開店準備
・清掃
・仕入れ作業
・仕込み
・在庫管理
・売上の集計、閉店作業

これらはマニュアルや作業リストを作り、考えなくても抜け漏れなくできる状態にしておきたい。ほかにも、備品の買い替え時期や設備のメンテナンスの時期などもまとめておくと、忘れずに対応できるだろう。

また意外と重要であるのが、やらないことを決めること。お店にとって必要なことに焦点を絞らなければ、作業量がオーバーしてしまう。

営業中は臨機応変に対応することが求められるが、それでも、盛り付けの段取りや調理から提供までのオペレーションなど、事前にシミュレーションしておけることもある。先に考えられることはできるだけ考えておき、「臨機応変に動く」は、想定外の事態のために取っておきたい。

【5】動線、レイアウト

作業をよりスムーズに行うためには、客席・厨房の動線やレイアウトにも気を配る必要がある。できれば開業前の内装工事のタイミングで、メニューや規模に応じて細かく計画しておきたい。例えば、下記の点がスムーズにできるかを考えてみる。

・厨房と客席間の移動
・食材の取り出しから調理、提供までの作業
・洗い物からしまう作業
・食器・グラスの取り出し
・ストックの取り出し
・そのほか、お店に必要な片付けや収納、移動

オープンキッチンで客席をカウンター形式にすれば、調理後すぐに提供できる。ただし、客席から調理場が見えやすくなるので、清掃や整理整頓を特にしっかり行う必要がある。

重要なのは、気持ちよくサービスができるかどうか。何かと作業が詰まってしまったり、ストレスを感じる場所があると、調理や接客にもダイレクトに影響する。

【5】接客スタイルや演出を検討する

接客においても、こだわりと効率化を両立させることが欠かせない。調理などの業務をこなしつつも、お客様を置いてきぼりにせず、一人一人に満足して帰ってもらうにはどうすればよいのか? お店側もお客様も心地よいバランスを考えたい。例えば、下記の対応はどうだろうか?

・あらかじめ一人で営業していることを伝えておく
・始めにまとめて注文してもらう
・カトラリーや取り皿を先にセットしておく
・お冷やをセルフサービスにする
・メニューに料理の解説を記載し、説明がなくてもわかるようにしておく

こうしてあらかじめできる準備をし、お客様が迷わない仕組み作りをしておけば、ちょっとした会話や丁寧なサービスに時間を割ける。

また、お店のコンセプトに合ったBGMをかけたり、温かな照明にしたり、見て楽しめるインテリアにしたり……間を助けてくれるような演出を心がけ、お客様に寂しさや暇を感じさせない工夫をしたい。

【6】リスクマネジメントを心がける

一人で経営する場合、トラブルにも一人で応じる必要が出てくる。できるだけそうしたことに合わないよう、また、何かあったときに対応できるよう、下記のようなリスクマネジメントを心掛けたい。

日々の業務

調理中は事故が起きやすい。刃物は使ったらすぐしまう、火器の取扱いに細心の注意を払う、コックシューズのような断熱や防水、滑りにくい靴を履くなど、細かな点からリスクマネジメントは始められる。

閉店時の対応

体調不良や急なトラブルなどで店を閉店せざるを得なかった場合に備え、臨時休業のお知らせをどのように行うか考えておく。店頭にお知らせを貼るほか、SNSやホームページなどのWeb上に記載する。すでにご予約いただいているお客様にはお詫びの連絡をすることも欠かせない。ワンオペであるゆえに、そもそもそういう可能性があることを、予約時に伝えておくという手もある。

防犯対策

防犯カメラの導入、セキュリティサービスとの提携などを検討する。売上を持ち歩くときは明るい時間にする、閉店作業時は鍵を閉めておくなどが考えられる。

クレーム対策

そのほか、クレーム対策も重要だろう。衛生面やオペレーションで不備が起きないよう、先述の段取りや動線、外注・設備投資、DX化などで上手く仕組み化しておく。それでもクレームが起きる場合もあるため、起きた場合の対策方法も考えておきたい。

コスト管理

なかなか売上が安定しない可能性もあるので、できるだけコストを抑えて運営したい。例えば、初期費用を抑える居抜き物件の活用や、家賃や光熱費、通信費などの固定費の管理、急な故障を避けるための、定期的な設備のメンテナンスなどが挙げられる。

ただし、居抜き物件に関しては、設備や内装に不備や加えたい変更があると大きく費用が掛かることもある。内見時に必要な設備が揃っているか、自店でそのまま活用できそうかをしっかり確認しておきたい。

また、設備に関しては、コスト削減にこだわるあまり、質の悪いものを購入することにならないよう、価格と機能のバランスを見極めたい。購入以外にも、リースを活用する手もある。

【7】できる範囲の集客を考える

一人で営業する場合は、集客にたくさんの時間をかけることは難しいだろう。しかし、営業の合間を縫って、コツコツできるものや、外注サービスを頼る手段もある。予算と時間に応じて、できる手段を選びたい。

例えば、SNSを活用した集客。日々のメニューやイベントの告知、仕入れた食材や調理についての情報、そのほか、お店や経営者自身の何気ない記録を発信し、お店を知ってもらう。

あるいは、閉店中でも知ってもらえるよう、チラシやショップカード、印刷したメニューなどを店頭に置いておく。これらは、近隣のお店と協力して、互いに店内にショップカードを置き合うという手も考えられる。チラシに関してはポスティングの業者に依頼する手もあるだろう。

【8】自己管理に気を配る

ワンオペ営業はたくさんの業務を一手に担わなければならない。そのため、あらゆる面での自己管理が必要になってくる。

もっとも大切なのは、健康管理だろう。休日をきちんと設けてしっかり休む、食事や睡眠、適度な運動を心掛けるなど、日頃から自分を労り、健康を維持することが欠かせない。体はもちろん、心の疲れにも気を付け、意識的にリラックスする時間を取りたい。

そのほか、日頃のスケジュール管理やタスク管理にも気を配る。日頃のやるべきタスクについては、先述の段取りでも触れたように、作業リストやマニュアルを作って抜け漏れを防ぐ。また、予約や仕入れ、仕込みのスケジュールは、一覧で見られるようにしておくと忘れにくい。デジタルでもアナログでも、使いやすいツールを活用したい。カレンダーツールやタスク管理ツール、ノート、付箋……いろいろ試してみて、しっくりくるものを選ぶ。

【9】外部の視点を上手く取り入れる

自分だけで店づくりを行うことは、大変ながらも実に魅力的と言えるだろう。お皿一枚から丁寧にこだわっているお店も多い。

もちろん、一から十まですべてを一人で考えるという手もあるが、外部の視点を上手く取り入れることで、より魅力的な店づくりを実践できることもある。例えば、下記のようなアイデアはどうだろう?

・同業者と意見交換する、またはアドバイスをもらう
・業界問わず、さまざまなお店とコラボ、イベントをする
・お客様にアンケートを取り、感想やお店への要望を聞く
・インテリアや器、制服、ロゴなど、デザイン面はプロに頼る

ワンオペでの営業は、時間や作業の面で制限されることもあるが、アイデアや可能性は無限に広げられる。いろんな視点から考えてみることで、理想のお店を実現できる道を、拓いていけるだろう。

参考文献
『一からわかる! 繁盛する小さな飲食店のつくり方』赤土亮二
『バル・ビストロ・カジュアルレストラン ワンオペ店の仕込み術』柴田書店編
『ワンオペ完全マニュアル: バル・ビストロ・レストラン 20店が実践する一人で店をまわすための仕事術』柴田書店編

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