お客様が来店してくださるとき、そこには何らかの動機がある。それは「食事が美味しいから」「商品が魅力的だから」「近くて便利だから」などはっきりしている場合もあれば、「なんとなく」で来てくださる人もいるだろう。ただし、この「何となく」にも、他店でなく、自店を選んでくれた潜在的な理由があるはずだ。
つまり、お客様に来てもらうには、何らかの動機を持ってもらう必要がある。では、どのようにすれば、お客様は「自店に来る動機」を持ってくれるのだろうか? お店側ができる、来店動機を持ってもらうための配慮や工夫を考えてみる。
【1】自店だけの強みや売りを持つ
まず始めに思いつくのは、「このお店といえばコレ」とお客様に認識してもらえるような、お店ならではの強みや売りを用意することだろう。例えば、下記のような例が挙げられる。
・名物メニューがある
・オリジナルの商品やサービスを体験できる
・独自のイベントや企画を行っている
・店内の居心地がよく、過ごしやすい
・魅力的で話したくなる店主やスタッフがいる
ほかに魅力的なお店があったとしても「これがあるからこのお店に行きたい」と思ってもらえるような強みや売りがあると、望ましい。
「そんな強みや売りがお店にない」と感じてしまう経営者もいるかもしれないが、改めて整理して考えると、意外な魅力が見つかることもある。コンセプトを見直す、開業を決めた時から今までの経緯を振り返る、スタッフやお客様にアンケートを取って魅力を聞いてみるなどして、探してみたい。
【2】来店ハードルを下げる工夫をする
続いて重要なポイントとして、来店ハードルを下げる工夫をすることが挙げられる。多くの人は、初めて行くお店になんとなくのハードルを感じる。これをできるだけ取り除き、「行ってみようかな」と思ってもらえる配慮をする。
・Googleマップやホームページ、SNS、グルメサイトなどに、自店の情報をわかりやすく掲載する
・一目でコンセプトがわかるような外観にする
・店頭に商品のラインナップや価格帯を掲載する
・店頭に持ち帰れるメニュー表やショップカードを配置する
・クレンリネスを徹底し、清潔感のある店づくりを意識する
定休日や営業時間、アクセスなどの基本的な情報はもちろんのこと、お店の雰囲気や価格帯が事前にわかっていると安心感がある。そのほか、ガラス張りで店内の雰囲気を見せる、店頭で迷っているお客様にお声がけをするなどが挙げられる。
「これがあるから行く」と思ってもらうことはとても重要だが、それと同時に「入りづらいから行かない」「値段や雰囲気がどんな感じかわからないから行かない」といった、行かない動機をできるだけ減らすこともまた、同じくらいに重要である。
【3】ターゲットのニーズを見極める
日常的に利用できる食堂や、生活必需品を売る雑貨店などのように、その街でニーズのある商品・サービスを用意することで、定期的に来店動機を持ってもらうという手段もある。
大切なのは、自店のターゲットとなる層に合わせたニーズを見極めることだろう。ターゲット層に応じたニーズには、例えば、下記のような例がある。
・忙しいビジネスパーソン向けに、健康管理の行き届いた定食を提供する
・ファミリー層に向けて、三世代で使える日用品雑貨を販売する
・子連れ客に向けて、子どもが遊べるスペースを用意する
・通勤や通学をする人々に向けて、気軽に購入できる軽食やドリンクを販売する
自店のコンセプトや主力商品・サービスを見つめ直し、ターゲットとしている層が欲しているニーズとずれていないかを確かめておきたい。
このほか、商品を探しやすいディスプレイにする、品切れで機会損失しないよう、商品の品揃えに気を配るといった配慮も欠かせない。お店の使いやすさもまた、お店を選ぶ決め手になり得る。
【4】「特別」や「限定」を取り入れる
いつでも同じ商品が置いてあるお店には安心感があるが、日常的であるゆえに、来店動機を持ちにくい場合もある。だからこそ時には、「特別」や「限定」を取り入れた商品・サービスを取り入れてみたい。例えば、下記が挙げられる。
・旬の食材を取り入れたもの
・記念日の特別コース
・母の日や敬老の日、記念日に応じてプレゼントできるもの
・タイムセールやハッピーアワーなどの時間限定サービス
・期間限定の割引やクーポン
・そのほか、数量限定、期間限定で提供するもの
これら以外にも、お店側からイベントやキャンペーンを仕掛けることも可能だ。お店の周年記念や、近隣のお祭りや行事に合わせた商品・サービスの提供など、多様なアイデアが考えられる。「雨の日限定サービス」など、客足が遠のくタイミングで仕掛けてみるのもいいだろう。安定と特別、日常と非日常の両輪で、お客様が来店するきっかけを作り出す。
ちなみに、割引券やクーポンはお客様の大きな来店動機になり得るが、頻繁に提供すると「これがあるときしか行かない」というお客様も増えてしまう。割引やクーポンはあくまで「来店してもらうためのきっかけ」に過ぎないことを心に留め、次回はこれらがなくても来てもらえるような仕掛け作りを心掛けたい。
【5】お店の情報を発信する
SNSやホームページ、グルメサイトでの情報発信は、お店の認知度向上やブランディングに役立つだけでなく、来店動機を作り出すツールとしても有効と言える。例えば、下記のような情報を発信してみるのはどうだろうか。
・おすすめや売れ筋の商品、サービス
・日替わり・月替わりのメニュー
・季節のご挨拶とともに、その時期ならではのアイテム紹介
・新商品のご案内
・食材の入荷情報
ほかにも、お店のこだわりや何気ない出来事を発信しながらお客様とコミュニケーションを取り、口コミしてもらいやすい環境づくりを促すという手もある。リアルな口コミは、「行ってみたい」を誘発する大きなきっかけになる。
ただし、口コミの場合は、ネガティブな内容を書かれることも、残念ながらある。ネガティブな意見をできるだけもらわないよう、接客やクレンリネスに気を配るだけでなく、そうした口コミにどう対応するか(あるいはしないか)を検討したい。経営者やスタッフのメンタルケアも大切だ。
また、Web上で「行ってみたい」と思ってくださるお客様は、そのままお店の細かな情報を調べることが多い。あまり情報が出てこなければ、来店を断念する可能性もあるだろう。ゆえに、Webでもお店の魅力がしっかり伝わるよう、営業時間や店内の雰囲気など、基本的な情報をわかりやすく掲載しておくことも欠かせない。
【6】ポイントカードや回数券を導入する
ポイントカードや回数券といった、あらかじめ複数回来てもらうことを想定したサービスもまた、来店動機を誘引するきっかけになるだろう。提供している商品やサービスによっては、サブスクリプション(定額サービス)にするという手もある。
ただし、ポイントカードは多くの店舗で導入されている。お客様の中には「たくさん持ちたくない」と考えている人もいるだろう。そこで、他店と差別化できるような特典を用意する、デザインにこだわり、集めたり使ったりすることが楽しい仕様にするなど、持ちたくなるような工夫を凝らしたい。
また、これらの媒体も何にするか、検討したいところだ。紙にするか、Webページで見られるようにするか、お店専用のアプリを作るという手もある。紙であれば忘れられにくいが、かさばる。一方Webやアプリであればかさばらないものの、思い出しにくいこともあるだろう。お店のコンセプトや客層に応じて、どれが良いのかをしっかり考えたい。
来店動機の作り方をいくつか考えてみたが、最後にもう一つ心に留めておきたいのは、「来店したら終わりではない」という点だろう。せっかく来店してくれたとしても、お店の商品やサービスなどに満足してもらえなければ、再来店はない。
来店動機は、あくまできっかけに過ぎない。せっかく来店してくださったお客様の期待を裏切らないよう、そしてまた来ていただけるよう、お店の質を維持することにも尽くしたい。
参考文献
『「居抜き開業」の成功法則―150万円から繁盛飲食店をつくる!』土屋光正
『新版 宇井義行の飲食店運営・経営パーフェクトバイブル』宇井義行
もっと集客に関する記事を探す























