お店のハウスルール、どう決める? 記載したい項目や上手に運用するコツを考える

※本記事はアフィリエイト広告を利用しています

お店の運営方針を記すハウスルールは、日々の営業の道標となる重要な存在である。早めにしっかり作っておくことで、判断に迷ったときやトラブルが起きたとき、心強い味方となってくれるはずだ。

では、そんな“強い”ハウスルールを作るには、どうすればよいのだろうか? 記載したい項目や気をつけたい点など、ハウスルールづくりのポイントを考えてみる。

ハウスルールの「軸」を考える

細かい項目を作る前に、まずはハウスルール全体の「軸」を考えたい。最初に軸を設定することで、どの項目もこれを基準に考えることができる。

ここで言う軸とは、運営の基盤となる考え方を指す。これはおそらく、お店によって、さまざまな定義や名前で設定されていることだろう。例えば、経営理念やビジョン、コアバリュー、あるいはお店のコンセプトがそのまま経営方針になっているケースもある。共通して言えるのは「どんなお店でありたいか」という経営者の志ではないだろうか。これを基準に、ハウスルールを設定したい。

一方で、この軸が曖昧である場合には、まずここから考えてみる。特にコンセプトはハウスルール以外にも、店舗経営の要となるため、しっかりと検討する必要がある。

自店は何を軸に経営しているのか、自店にとって譲れない部分はどこなのか、どんな価値観を持っている人に働いてもらいたいのか……お店にとって大切な考え方を、文章化してみる。

ハウスルールの内容を検討する

続いて、ほかにどんな内容を記載するかを検討する。例えば、下記が考えられるだろう。

【1】働き方のルール

経営者自身・そしてスタッフの働き方に関するルールを決めておきたい。具体的には、以下の点が挙げられる。

・出勤や退勤、休憩の流れ
・シフト決めのルール(提出日や交代の対応など)
・休むときの対応
・遅刻や無断欠勤の場合の対応
・バックルームの使い方や貴重品の管理
・スタッフ同士の挨拶や声掛け
・昇給や福利厚生、評価軸について

ここで大切なのは、「全員が働きやすい環境作り」である。一律のルールを決めておくことで、スタッフが判断に迷いづらくなるほか、スタッフ同士のトラブルを防げる。

【2】営業中のルール

営業中は臨機応変に対応しなければならないことも多いため、その前の基本的なルールをしっかり固めておきたい。例えば、以下が考えられる。

・スタッフ同士の挨拶や私語、休憩に入るときの声掛け
・電話対応、予約対応
・携帯電話の利用について
・お客様への対応(基本の接客スタンス、満席時の対応など)

スタッフ同士の私語や携帯電話の利用などは、お客様を不快にさせる可能性がある。一方で、チーム内のコミュニケーションは重要であり、スマホはメモを取る際に使う場合もあるだろう。一律禁止にするお店もあるが、「この状況であればOK、この状況ではNG」など、場面ごとのルールを設定しておくという手段もある。

【3】衛生管理に関するルール

飲食店など、飲食物を扱う場合は特に、衛生管理が重要になる。例えば、下記のような項目が考えられる。

・手指消毒について(いつ・どんなふうに洗うか)
・身だしなみについて(髪の色や長さ、ネイルやアクセサリーについて)
・清掃について(いつ・誰が・どの場所をどのように行うか)

細かい手順等は、別途マニュアルを用意し、動画や画像とともに確認できるようにするとわかりやすいだろう。

身だしなみはある程度個性を尊重したいが、接客や衛生管理上の問題がある場合は、ルールで制限する必要があるだろう。その場合は「長い髪は料理やドリンクに入ってしまうといけないので結ぶ」「ネイルやアクセサリーは異物混入に繋がってしまう可能性があるので、落としやすいものを避ける」など、わかりやすい理由とともに設定したい。

服装は制服を設けることで細かなルール設定を簡略化できるが、難しければエプロンの着用や色・素材の統一などを指定するという手もある。お店のコンセプトによって判断したい。

【4】トラブルに関するルール

お客様やスタッフ間でのトラブル、あるいはお金のトラブルなど、店舗経営にはあらゆるトラブルの種が潜んでいる。何か起きた時にどう対応すべきか? 事例とともにまとめておきたい。

では、具体的なトラブルをどのように想定するか? これはWebや書籍からトラブルの事例を学んでお店なりの解決策を考えるほか、スタッフに実際に「業務中に困ったこと」を聞いてみるという手段も考えられるだろう。困って対応できなかったことや判断に迷ったことを調査し、それらについてどうすればよかったのかを話し合い、ルールにまとめる。

ただし、重要なのは「誰が原因か?」ではなく「何が原因で、今後同じことを起こさないためにはどうするか?」である。犯人探しではなく、今後の店舗経営をよりよいものにするためのルールと心得たい。

例えば『お客が殺到する飲食店の始め方と運営 ’25~’26年版』(入江直之)では、金銭に関するトラブルに対して「『問題が起きた原因を追及する』ことと『金額の多い少ないによって態度を変えない』ことが大切」としている。

店側が、「1,000円のトラブルは曖昧に済ませるが、 1万円のトラブルは厳しく追及する」というような姿勢だと、スタッフの側も「金額が重要なのだ」と考えて問題の原因を追及しなくなります。
金銭トラブルで原因を追及する目的は、「なくなったお金を取り戻すこと」ではなくて、「今後、同じ問題を発生させないため」 だということを全員が理解しなければなりません。(p.189)

【5】お店独自のルール

基本的なルールのほか、独自のルールを設定するお店もある。例えば、以下のような項目はどうだろう?

・お客様を迎えるときは、現地の言葉(イタリア料理店であればイタリア語など)で挨拶する
・仲間に助けられたと思ったら「サンクスカード」を書いて渡す
・お客様に名前を覚えてもらいやすいよう、自作の名札をつける
・週に一回、意見交換会を実施する

独自のルールにはお店らしさがにじみ出る。守ってほしいことはもちろん、「これがあったらスタッフが楽しめる・モチベーションが上がる」といったことを盛り込むと、従業員エンゲージメントやチームワークを高めることにも繋がるだろう。

ハウスルールを上手く運営するコツ

最後に、ハウスルールを上手く運営するコツを考えてみたい。

【1】禁止事項ではなく、「こういうお店でありたい」を共有する

まず、ハウスルールは禁止事項を並べ立てるものではない。あくまで「こういうお店でありたい」という理念のもとに、考えてほしいことや守ってほしいことをまとめている。ゆえに、大事なのは「考え方の共有」ではないだろうか。縛るのではなく、前向きな価値観の共有を目指したい。

【2】自分たちの言葉でルールを作る

作成時はさまざまなハウスルールの事例を参考にすることが望ましい。ただし、そのまま真似するのではなく、「こういうお店でありたい」という意志を示すためにも、ルールは一つ一つ、自分たちの言葉で作っていきたい。

例えば、参考書通りに「身だしなみをちゃんとしよう」と言っても、「ちゃんとする」は人それぞれである。自店のスタッフとしてどうしてほしいかを考え、「髪の色は自由だが、料理や飲み物に入らないようにしっかり結ぶ」「表情が見えるように長い前髪はピンで留める」など、理由とともに記載できればわかりやすい。

「お店のスタンスを守るにはどうすればよいか?」を基準に、具体的なルールを皆で考えてみる。

【3】改善する前提で、気軽に始める

最初から細かく決めすぎると、どれが大事なのかわからなくなったり、ルールに縛られすぎて窮屈になったりする。見直すことを前提に、最低限守れるルールから始める。

開店作業や身だしなみ、手洗いなど、手順を細かく表記したいものは、別途マニュアルを作成しておくという手もある。その場合、ハウスルールには「手順はマニュアルに従う」と記載しておくとわかりやすいだろう。

【4】ハウスルールの共有は採用段階から

新しいスタッフを採用するときには、先にハウスルールを共有することが望ましい。採用前に知っておきたいルールや考え方を伝えることで、双方の齟齬が起こりにくくなる。

また、育成時にも「これはOKだけど、これはハウスルールに反するからNG」と伝えやすい。新人スタッフは慣れない業務に戸惑うこともあるだろうが、指針があることで心理的安全を得やすいはずだ。

【5】スタッフ全員が納得できるものにする

文化や言語の違いから、「なぜこのルールが必要なのか?」がわからないこともある。戸惑っていたり、やりにくさを感じているスタッフがいれば、丁寧に説明を尽くしたい。逆に、上手く説明できない「なんとなく」のルールがあれば、それ自体の見直しも必要になるだろう。

ハウスルールはあくまで、そのお店らしさを守るものであり、困ったときの指針となる強い味方だ。当然、スタッフにとっても「あって助かるもの」でなければならない。極端に自由を奪ってしまうものや、モチベーションを下げるようなものであってはならない。

【6】浸透させる工夫をする

ハウスルールをまとめた後は、それらをスタッフに理解し、守ってもらえるよう、浸透させる工夫もしたい。例えば、定期的なミーティングで振り返ったり、育成中や業務のやり取りの中で一緒に確認したりといったことが考えられる。リアルな現場に、考え方をしっかりと落とし込みたい。

【7】定期的な見直しをする

ルールを運用していく上で、追記や改善したい内容も当然、出てくることだろう。ゆえに、ハウスルールは定期的に見直し、アップデートしていくことが望ましい。数カ月に一回や新しいスタッフが入ってきたらなど、自店に適した期間を設定しておきたい。また、そのときは経営者の独断で変更するのではなく、従業員の意見も参考にしたい。改善したルールは、改めて皆で変更点を確認し、混乱を防ぐ。

まとめておきたい内容は、経営者の考え方やお店の業態などによっても異なる。ここに記載した内容以外にも、そのお店ならではルールもたくさんあるはずだ。スタッフ全員が納得している個性豊かなルールは、お店のブランディングにも役立ち、それはお客様を楽しませることにも繋がるのではないだろうか。

参考文献
『失敗しない! 飲食店の始め方と経営』久連松秀明監修

もっと「マインドセット」に役立つ記事を探す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です