従業員に仕事を任せるときのポイントを考える。店舗経営の可能性を広げる任せ方とは?

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店舗経営における業務は、非常に多い。スムーズにこなしていくためには、業務を経営者一人でできる範囲に削減・効率化するか、従業員の力を借りることが大切になる。しかし、従業員に仕事を任せる場合、こだわりがあるからこそ「任せる方が大変なのではないか?」と不安を感じることもあるだろう。

その一方で、従業員に仕事をうまく任せることができれば、彼らの成長を促し、チームの力もレベルアップする。お店全体の生産性向上や売上向上に良い影響をもたらすほか、経営者自身のできること、やりたいことの幅も広がっていくはずだ。では、どんなふうに任せれば、うまくいくのだろうか? 経営者と従業員、そして店舗経営の可能性を広げるような、従業員への仕事の任せ方と、そのポイントを考えてみたい。

従業員とのコミュニケーションを大切にする

仕事を任せる上で何より大切なのは、任せる相手、ここでは従業員との信頼関係だろう。ゆえに従業員とは、日頃から丁寧なコミュニケーションを心掛けたい。業務中のやり取りはもちろん、定期的なミーティングや日報作成など、彼らの話を聞ける場を設ける。そして、彼らのやりたい仕事や向いている仕事、なりたい将来像、学びたい・成長したい分野などをできるだけ把握する。

得意とすることや好きなことを上手く任せることができれば、経営者が思う以上に能力を発揮してくれる可能性も高い。経営の幅がより広がることもあるだろう。また、従業員自身もやりがいを感じてくれるはずだ。

任せたい業務内容を精査する

どんな仕事を任せたいか、任せるために何が必要かを具体的に書き出してみる。

・どんなことをしてもらいたいか
・誰にしてもらいたいか
・どんな成果を期待しているのか
・成果を達成するために必要な備品やツール、コストなどの経営資源はあるか
・必要な期間、期日
・守ってほしい基準やルール

任せたい内容が曖昧である場合は、まずは業務の洗い出しから始めたい。書き出した中から、任せたい業務をピックアップしていく。大まかに内容が決まってきたら、さらにそれを任せられるかどうか、次のような点から精査していきたい。

・業務量や難易度など、従業員への負担が大きすぎないか
・権限譲渡は可能か
・従業員の成長に繋がるか
・失敗したときにどれくらいの影響が出るか(カバーできるか)
・従業員が興味を示しているかどうか、本人の目標と関連しているか

任せてみたい内容であっても、あまりに残業が増える、難易度が高すぎるなど、従業員の負担が大きすぎる場合は再検討が必要になる。従業員の経験値や能力に合わせて内容を精査するのはもちろん、現状の業務を再分担する、DX化で全体の業務効率化に努めるなど、任せられる環境を整えたい。

また、任せる業務内容については、あくまで「してほしい内容」や「達成してほしい成果」などの結果に留め、相手がそれをどのように達成するか、細かな手順まで口出しし過ぎないようにする。一つひとつ口を出すようでは、「任せている」とは言えず、経営者自身の負担も減らないほか、マイクロマネジメントによる従業員のストレスも大きくなってしまう。最低限の基準やルール、「してはいけないこと」「してほしくないこと」のみ提示し、得意なやり方で達成してもらえればいいと心得たい。

任せる準備をする

任せたい内容が決まったら、いきなり任せるのではなく、次はそれらを任せる準備をしていく。どうやったら従業員がスムーズに業務に取り組めるかを考えながら、例えば、次のようなことを検討する。

・任せたい内容を簡潔に、わかりやすく説明できるよう整理する
・作業や進め方に関するマニュアルを作成する
・必要な備品、ツール、参考資料があれば準備する
・悩んだときの判断基準を決める(コンセプトやビジョン、コアバリュー、理念など、お店の判断基準となる軸を、あらかじめ用意しておく)
・任せる理由を説明できるようにしておく(挑戦して欲しいから、得意な力を活かしてほしいからなど)
・注意すべき点やよくある質問、失敗を想定し、事例集やQ&Aとしてまとめておく

もちろん細かく口を出す必要はないが、安心して業務に取り組めるよう、できるだけのことをしておきたい。

適度なサポート体制を整える

先述のように、こちらは任せたいこと、期待している成果をはっきりと伝えつつも、細かなやり方にはできるだけ口を挟まず、従業員の考えを尊重したい。とはいえ、任せっぱなしではお互いに困ることもあるはずだ。そこで、適度にサポート体制を整えておきたい。例えば、以下のアイデアはどうだろうか?

定期的に報連相してもらう

業務を任せる前に、報連相のルールを決めておく。「毎週金曜日」「定期ミーティングのとき」など、決まったタイミングで報告してもらうとやりやすいだろう。心配だからと言って「あれはどうなってる?」と何度も聞きに行くのは、任せきれていない証拠でもある。

ただし、定期的な報連相のタイミングのみでしか相談できないとなると、困ることもあるだろう。そこで、悩みや困りごとにすぐ対応できるよう「困ったときはいつでも相談して」と声かけをしておくなど、フォローもしておきたい。

業務に対してのフィードバックを行う

途中経過を見ながら、改善すべき点、良かった点を伝える。一方的に伝えるのではなく、「どうしたらいいと思う?」と一緒に考えてもらうなど、コミュニケーションをとりながら行うことが望ましい。やってみてもらう、結果をフィードバックする、またやってみてもらう、を繰り返すことで、すり合わせができていくはずだ。

また、間違ったり失敗したとしても、挑戦したこと、間違ったやり方だとわかったことは良いことだと伝えたい。彼らの挑戦する意欲を大切にすることを、心がける。

従業員が自分で考えられるよう促す

上から下への指示ばかりでは、学びが身に入りにくいほか、従業員たちのやる気もそがれる。従業員に目標を決めてもらう、迷ったときは一緒に考えるなど、彼らが自分で考え、取り組めるようにサポートしたい。課題に対しても、すぐに解決策を示すのではなく、解決する方向へ導くような方法を取ることが望ましい。

任せる相手を信用する

初めに従業員との信頼関係を築くことの重要性に触れたが、従業員に信頼してもらうのはもちろん、こちらも彼らを信用することが欠かせない。いろいろ心配に思う点はあるかもしれないが、従業員の能力を見くびらず、まずは信用して任せてみる。

最初から完璧に、期待通りの仕事をしてくれるケースはなかなかないかもしれない。しかしそれは、お互いに理解できていない部分があるからだ。相手を信じ、粘り強くコミュニケーションを取りながら軌道修正していくことで、徐々に理解を深め合い、信頼関係を築く。

仕事に対してきちんと評価する

仕事を無事に終えたら、そのことを労い、評価する。改善点を伝えることも重要だが、任せた仕事をやり切ってくれたことに感謝する、従業員が新たに身につけたスキルや達成できた目標を称えるなど、前向きな評価も積極的に行いたい。

従業員にも「やり切った」「できた」と改めて実感してもらうことで、自信をつけてもらい、さらに次のステップへ進んでもらう。

最終責任は経営者が持つ

任せたあとに何かトラブルがあった場合、最終的な責任は経営者が持つと心得たい。トラブルの原因を究明することは大事だが、従業員を責めるのではなく、プロセスを見直し、何がダメだったのか、どう改善すればいいのかを一緒に考え、解決する。一方的に注意するよりも、従業員に自分の意見を出してもらう、話し合う方が、より良い方向に導けるだろう。

もちろん、何から何まで責任を取るというわけではない。例えば、従業員に〆切を決めてもらい、それには責任を持ってもらうなど、できる範囲の責任を負うことは、彼らのやりがいに繋がるだろう。

『不格好経営 チームDeNAの挑戦』(南場智子)によれば、DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)の人材成長分野のレベルが高いのは、「任せる」ことを大切にしているからだという。「その人物が精一杯頑張ってできるかできないか、ギリギリの仕事を思い切って任せる」ことが、彼らの大きな成長に繋がるからだ。

ギリギリな仕事を任せれば当然、失敗するリスクもある。でも、不思議と人は顕在化し ている能力の数倍の能力を有していて、本人も驚くような大仕事をやってのけるものであ る。万が一できなければチームが寄ってたかって助ける。まれにそれでもカバーしきれ ず、穴があくこともある。そのリスクはとろう、でも人が育たないリスクはとらない。 DeNAはそういう選択をしているつもりだ。(p.215)

任せることは不安が付きまとう。「それなら自分でやった方が早い」と感じるかもしれないが、それはあくまで短期目線のことだろう。そのジレンマを乗り越え、従業員に任せることができれば、長期的に見ると全体の生産性が上がり、経営の幅も広がる。

もちろん、いきなり全てを任せる必要はない。まずは一つの作業から任せてみる。そのスモールステップの積み重ねが、やがて強いチームを作り、理想の店舗経営へと繋がっていくはずだ。

参考文献
『自分の頭で考えて動く部下の育て方』篠原信
『不格好経営 チームDeNAの挑戦』南場智子
『不可能を可能にせよ! NETFLIX成功の流儀』マーク・ランドルフ

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